クレイン日記


図書出版クレイン の日々の記録
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by cranebook | 2013-12-30 14:12 | 雑感

本年もありがとうございました。

 2013年の業務が終了いたしました。皆さまこの一年どうもありがとうございました。
 新刊は「今井正 戦時と戦後のあいだ」の一冊でした。この本はほんとうに力を入れました。日本語の表現を始め、参考文献の確認、今井作品の鑑賞など、私にとっても刊行できたことがうれしかった書籍です。
 私にとっての今年のベストワンです。

 さて、今年も振り返れば、いろいろなことがありましたが、とくに印象深かったのは、友人を三名亡くしたことです。一人は中川六平さん。元・東京タイムスの記者から、朝日新聞関連の雑誌・書籍の編集作業に携わり、その後、晶文社の顧問として、出版界で活躍された方です。私とは、かれこれ25年に及ぶお付き合いでした。
 よくお酒を飲みました。楽しい時間を多くいただきました。また、元気づけて下さいました。ほんとうにありがとうございました。

 二人目は梁民基(ヤン・ミンギ)さんです。梁さんは、友人と言うより、正確には恩師なのですが、そのような言い方をとくに嫌われる方でしたので、友人とさせていただきます。
 氏は、韓国のマダン劇という民衆演劇の日本への紹介者であり、日本でのマダン劇運動の第一人者です。氏がその運動を日本で始め、継続させてきたといっても過言ではありません。ひとときの流行のために多くの在日のインテリ連中が寄り集まってきましたが、最後まで活動し続けたのは、梁民基さん、ただお一人です。

 氏との出会いは、私の学生時代です。氏から朝鮮語を習っておりました。日朝関係の文献や韓国の論文などを氏を囲む仲間と学んでいた当時のことは、私の青春であり、財産です。
 あの当時の私は、言葉の本来の意味で「考える人」でした。その時代の氏と友人との出会いが、現在の私の世界観のある部分を形作っています。ほんとうにありがとうございました。

 三人目は大森信吾さんです。大森さんとの出会いは、子どもが学童保育所に通うことになりもたらされました。保護者同士という関係でです。放課後の子どもの居場所をどうよりよいものにしていくのか。行政に対して、いかに自分達の要望を通していくのか、そんなことをよく議論したものです。楽しかったし、学びました。あなたとは、考え方は違ったけれど、だからこそ友人なんです。ほんとうにありがとうございました。

 つまり以上の三名の方は、梁さんが学生時代、中川さんが社会人時代、大森さんが親時代、の各時代に私が多くの影響を受けた方々です。
 ご冥福をお祈りいたします。

 さて、今年を亡くなった友人のことで振り返りましたが、来年はどのような時代になるのでしょうか。
 安倍政権が進める国家主義的な政策の進行や、ヘイトスピーチに代表される他者に対する寛容さの喪失状況が加速化されそうです。
 私は生きている者として、いかなる方法かは別にして、そのことと向き合うつもりです。

 では、皆さま来年2014年もよろしくお願い申し上げます。

 図書出版クレイン
 文弘樹
 2013年12月30日
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by cranebook | 2013-12-30 14:07 | 雑感

平野甲賀展を鑑賞して

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 去る2013年10月21日(月)から12月21日(土)の間、武蔵野美術大学の美術館で開催されていた「平野甲賀の仕事 1964−2013 展」の鑑賞報告をさせていただきます。

 私が行ったのは、12月に入ってからですので、会期の後半でしたが、もう少し早く行っていれば良かったと悔やまれてなりませんでした。一定の期間を挟んで再鑑賞すれば、また違った感想が生まれていただろうと思われたからです。それほど、今回の展覧会には感じ入るものがありました。

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 刊行物のデザインを平野さんにお願いしたことがある、というのが、展覧会に対してそんな感情を抱いた最たる理由ではあるのですが、そのほか、黒テントのポスターに懐かしさを覚えたり、もちろんメインのブックデザインに触れて、私が学生時代に手にした書籍が数々存在していたということもあるでしょう。

 たしかにそうなんですが、なにかそのほかの理由があるように思えてならなかったんですね。
 それは、私が50代に突入したことによって、平野さんのデザインに、かつての青春時代、つまり欲望を多く保持していた年頃のことを喚起されたということがあったのだと思います。
 と同時に、その時代に注力した演劇活動を強く思い起こさせてくれたからでもあります。

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 「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉があります。ある歌が、かつての自らの時間と存在を思い起こさせる現象をその言葉で語ります。

 であれば、「デザインは世につれ、世はデザインにつれ」ということもあるのではないでしょうか。
 そんなことを私に思わせてくれた印象深い展覧会でした。

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 さて、平野さんには、一冊の本しかデザインをお願いしていないので、それ以降お会いすることはないのですが、お元気でしょうか。聞くところによると、来年には暖かな場所に移住されるとのことですね。
 どうか、お元気でお過ごし下さい。
 今回の展覧会に行ったことは、よい思い出となりました。
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by cranebook | 2013-12-28 11:27 | 刊行物関連