皆さん、新年おめでとうございます。
クレインは本日から2012年の始まりです。 いつもの年と同じく地道に前を向いて進んでいきますので、変わることのないご支援のほどを、なにとぞよろしくお願いいたします。 さて、新年早々に、「サラの鍵」という映画を観に行きました。 ナチス占領下のフランスが舞台のユダヤ人一家の物語ですので、どうしようかとさんざん迷ったのですが。というのも、その時代のそのテーマについては、食傷気味であったものですから。 とはいえ、自宅近郊ではそれに代わるような作品がなかったので、期待値50%といったところでしたが、思い切って鑑賞することにしました。 さて、残念ながら、たいへんおもしろかったです、という結論にはならなかったのですが、私がこれまで観たユダヤ人迫害を描いた映画の中ではユニークな作品ではありました。 サラという一人のユダヤ人女性の歴史が、現代のフランス、アメリカ、イタリアをまたぐ人々の歴史として連なっていることを、サラ一家が住んでいたアパルトマンを接収した者を遠縁に持つ一人の女性ジャーナリストの取材を通して明らかにしていくストーリーは、過去と現在を往還する映像手法によって、過去が現在に生き続けている事実から目を背けてはならないということ。また、ホロコーストの歴史に向き合うためには、迫害・弾圧・虐殺された「ユダヤ人」という集合体ではなく、映画では、「サラ」という名前を持つ一女性ですが、一人一人がそれぞれにかけがえのない名前を持つ「個人」としてのユダヤ人がこの世に存在したことを記憶し続けるのだということ。この、一つではなく、二つのメッセージゆえ、「サラの鍵」は私にとってはユニークなものでした。 と同時に、それゆえ、描写されるエビソードが欲張り過ぎのきらいはありましたが……。 ちなみに原作は全世界300万部の大ベストセラーで、翻訳もされて新潮社から出版されているそうです。 恥ずかしながら、そのことは映画を観るまで全く知りませんでした。 いずれ原作を読んでみようと思います。 本日で年内の営業が終了いたします。
今年も多くの出会いと笑いがありました。 あらためて、弊社クレインを支えていただいた皆さまに感謝申し上げます。 一人、二人の極小出版社に頑張ってほしいと思っています。 また、一人でも多くの人々が出版業を始められることを祈願しております。 来年も心に笑いを忘れずに進んでまいります。 それでは、皆さま、良いお年をお迎えください。 2011年、どうもありがとうございました。 ![]() 今年もあとわずかの日々を残すだけとなりました。 なんといっても今年は、というか時代は、3.11(東日本大震災)から始まったといっても過言ではありません。 さて、来年の3月で、3.11からはや1年を迎えようとしています。 あらためて、被害にあわれた皆さまにはお見舞いを、そしてお亡くなりになられた皆さまにはお悔やみを申し上げます。 弊社では来年最初の刊行物として、関東大震災を前後する治安秩序構想をテーマにした書籍を用意しています。2月中旬発売です。1923(大正12)年に発生した関東大震災は、未曾有の大災害であったことのみならず、当時日本に居留していた朝鮮人、中国人への虐殺事件が発生したことによっても、けっして忘却してはならない歴史の事件です。 その未曾有の大災害時の虐殺事件を主導した「自警団」の暴走を、なぜ当時の治安当局は阻止できなかったのか。また、当時いかなる治安秩序が形成されていたのか。そのことへの回答が本書では綴られています。 関東大震災は、3.11とは性格を異にする被害状況ではありましたが、それが発生した非常時の人々のふるまいの様相を振り返ることは、3.11以後を考える上で大切な営みであるはずです。 そうした思いで本書を編集しています。ぜひその思いの一端なりをくみ取っていただければ幸いです。 余談ですが、カバーには宮武外骨が発行していた『震災画報』のイラストを使用しています。 ちなみにこのカバーのイラストは、「腹部に爆弾を隠していると疑われる朝鮮人妊婦」です。 11月3日に函館でおこなわれたイベント「佐藤泰志の復活と映画『海炭市叙景』を語る」から戻ってきました。とりいそぎ報告をさせていただきます。
当日は、好天のもと100名近くの方々にご参加いたたきました。それにしても函館は暑かった。寒いであろうと思いジャケットの下にセーターを着ていったのですが大失敗でした。セーターはその日の夜でお役ご免となりました。 さて、到着してすぐに、佐藤泰志のお墓に参りました。翌日には実行委員会の方々とご一緒に墓参する行程が組まれていたのですが、私は朝早くの出発でしたので、一人参ったわけです。タクシーを飛ばしたのですが、運転手さんも当日のイベントについてご存知で、佐藤泰志の墓参りに行くのだというと、「線香」と「ろうそく」は持っているかと聞かれたのには驚きました。商売柄、常に用意しているのだそうです。いやー、おそろしいお仕事ですね(笑)。 その後、イベント会場のサン・リフレ函館に急ぎ、予定の時間に駆けつけることができました。ロビーでは、できたてほやほやのDVDが販売されておりました。 主催者のご挨拶の後、さっそく福間健二さんの講演です。福間さんは、繰り返しになりますが、佐藤泰志と青春の一時期を同伴者として過ごされた方です。現在では、萩原朔太郎賞受賞詩人として、有名になっていますが、当時は、佐藤泰志と同様に、自他認める表現者を目指す若者の一人でした。 福間さんは、そのお話の中で、佐藤泰志の評伝を書こうとして何回も挫折していることに触れ、その準備過程で自らが獲得した視点で小説家・佐藤泰志という人物を分析されました。 その視点の要諦は二点。一点目は、1967年の羽田闘争を手始めとする、当時の左翼運動に対する佐藤泰志の関わり方のユニークさ。二点目は、精神の不調に悩む佐藤泰志に対する精神科医の治療の仕方の不備が呼び込んだ創作欲の萎縮。 この二点が複雑に混ざり合って佐藤泰志の小説家としての進み具合を決定づけたということでした。 それゆえ、自らが自由になる場所へ踏み出すものとして彼の表現活動は存在し、それがためにその表現の核には純粋さがあり、その純粋さを生涯悩みながら彼・佐藤泰志は貫いたのだ、と締めくくられました。 福間さんには、ぜひ佐藤泰志評伝を執筆していただきたいものです。 次に第二部のパネルディスカッション→その様子 パネラーのメンバーは、私、岡崎武志さん、河出の阿部さん、小学館の村井さん、後半からは映画「海炭市叙景」のプロデューサーの星野さん、映画製作実行委員長の菅原さんが加わりました。 岡崎さんの司会のもと、それぞれが、佐藤泰志作品に惹かれた理由、そして映画の感想などを語り合いました。私は例のごとく、金鶴泳のことに触れながら佐藤作品の魅力について語りました。他の皆さんの語りの内容は、申し訳ございませんが、覚えておりません。それほど興奮していたようです。 なにしろ、このようなイベントは、本来私が開催するべきものだと考えておりましたが、私の力不足で実現できず、それが函館で実現したのですから、感謝の気持ちで一杯で他の方々の話を聞く余裕がなかったのでしょう。 また会場には、これまで佐藤泰志作品集を始め、弊社を取材していただいた記者の方々も勢揃いされていました。北海道新聞の大城さん、渡辺さん。朝日新聞の芳垣さん。毎日新聞の中澤さん。皆さんと久しぶりにお会いできたこともうれしかったです。なにしろ、佐藤泰志復活に際して、多くの部分を皆さんに支えられたのは紛れもない事実なのですから。 3年ぶりの函館でしたが、イベント終了後の懇親会の場では、やはり新しい出会いがあり、楽しい話のオンパレードでした。また今回もエネルギーをいただきました。 その後、二次会は、函館が誇る文壇バー「杉の子」へ→その様子 最後に、当日のイベントの実行委員会の皆様、そして映画「海炭市叙景」実行委員会の皆様、ほんとうにありがとうございました。そしてたいへんお疲れさまでした。では、皆様お元気で。 ![]() 11月3日に函館で、映画「海炭市叙景」のDVD発売記念イベントが開催されます。講演とパネルディスカッションの二部構成ですが、わたしはパネルディスカッションに参加します。他に、菅原和博さん(「海炭市叙景」映画製作実行委員長)、岡崎武志さん(ライター)、村井康司さん(小学館)、阿部晴政さん(河出書房新社)によるディスカッションです。テーマは「佐藤泰志の復活と映画『海炭市叙景を語る』」。 村井さん、阿部さんは、この間、佐藤作品の文庫化に尽力され、出版界での佐藤泰志の復活に関わってこられました。岡崎さんはもいうまでもなく、佐藤泰志の名前を読書愛好者に伝えた伝道師ともいってよい方です。そのみなさんが一堂に会して、佐藤泰志について語り会うことになります。このような機会を東京でつくりたいと思っていたのですが、わたしの力不足で実現できなかったところに、今回のようなイベントが実現します。ただ、うれしいかぎりです。 ![]() そして、第一部の講演には、佐藤泰志の旧友であった詩人で映画作家の福間健二さんが登場します。演題は「佐藤泰志の青春と文学」。まさに佐藤泰志と青春を共にした者だからこそ語りうるユニークな内容となることでしょう。 つい先日、その福間さんが監督をされた映画「わたしたちの夏」を観に行ってきました。様々な出来事の記憶が錯綜する夏という時間の中で、生者が死者を呼び起こします。しかし、じつは死者こそが生者を呼び起こしているのであり、そこでは死者だけが語るべき言葉を持ちうる。そしてその言葉は詩的であるほかない、というメッセージを私はこの映画から受け取りました。この映画は、福間さんの、佐藤泰志へのオマージュにほかならないのではないでしょうか。 映画はまだ幾日かポレポレ東中野で上映されておりますので、ぜひご覧になってみてください。 さて、3年ぶりの函館です。滞在時間は少ないのですが、わたしにとってオーラ溢れるこの場所に久しぶりに浸ってきます。 追伸:今朝、自宅の庭に咲いていた「彼岸花」です。なぜか紹介したくなりました。 ![]()
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